目次
寒くて外に出るのも嫌になる冬 | 準備をしっかりすれば寒くてもロードバイクトレーニングを楽しめる
寒さに負けずにロードバイクトレーニングをするには、いくつかのポイントがあります。そのポイントをおさえて、しっかり準備して走りに行けば冬の寒さに負けずにロードバイクトレーニングを楽しむことが出来ます。そこで今回は、注意すべきポイントをご紹介いたします。
1.気温・風向きの変化に注意しよう
冬は1日の気温変動が激しい季節。そして、気温の変動に伴って風向きも変わるので注意が必要です。
休みの日にロングライドに出かけるなら、朝から走りに行って、午後に帰ることになるでしょう。つまり、1日の内で一番気温の低い朝に出発し、一番気温が高い午後の時間帯まで走ることになります。
出発時の気温が0℃前後であっても、帰る頃には気温が10℃前後まで上昇するのです。この気温が低い中での10℃の気温の幅がとても厄介で、どちらの気温にも対応できるようにウェアを準備しないといけません。

完全防備で冬のトレーニング
ひとつのアイテムではカバーしきれない気温のレンジなので、私の場合は3つのアイテムを準備して走りに行きます。
私の場合、気温の影響を一番受けるのがグローブ。
2つ準備して走りに行きます。
出発時は分厚い真冬用のものを装着していますが、途中で熱くなってくると、薄手の冬用グローブに取り替えます。分厚いグローブでそのまま我慢して走っていると汗が出てしまい、この汗が腕まで達すると一気に身体を冷やしてしまうことがあるからです。冬のサイクリングにおいて、汗は体温の奪う危険な存在なのです。
グローブ以外には、出発時はウィンドブレーカーを着込んでいますが、これも身体が温まったら脱ぎます。
ネックウォーマーも脱着がし易いものを選び、途中で脱ぐ。こう言ったこまめな体温調節がとても重要です。
気温変動に伴って変わる風向きについては、「行きと帰りで風向きが逆になる可能性」を常に心がけておきましょう。冬は基本的にシベリア高気圧など大陸側の高気圧の影響で北風や西風が多く吹いているのですが、海の近くなど、時間帯によって風向きが変わる場合も多いのです。
「行きが追い風だったから、帰りは向かい風だ」と思って走りに行ったのに、帰りに風向きが変わって苦戦した経験などは誰しもお持ちでしょう。気温同様、冬場は特に風向きの変化にも気を配りましょう。
2.ツールケースを活用しよう
冬場は夏に比べてドリンクの摂取量が激減します。個人差はありますが、1日中走っても、ボトルを1本飲み切らないことも有るでしょう。そこで、冬場はボトルを1本に減らし、空いたボトルゲージにツールケースを刺して使うことをおすすめしたいと思います。
冬場は夏に比べて荷物が増えます。ウィンドブレーカーや(先ほど触れたような)予備のグローブ、多めに準備した補給食など、これらを全部背中のポケットに入れるのは大変です。そこでボトルの量が減るのを活かし、ツールケースを活用するわけです。
ここ数年でファッショナブルなアイテムも増えて、使っている方が増えたツールケース。
ボトルと同じサイズなので、単純計算で容量は500mlくらいと言うことになりますが、ウィンドブレーカーを収納したり、グローブや補給食を収納したりと、とても便利。増えた荷物をツールケースにスッキリ収納し、身軽な状態で走りましょう。
3.パフォーマンス低下を考慮して計画を立てる
生き物は低温になると代謝や運動能力が低下します。魚はエサを食べる量が減り、暖かい水が集まる底の方で動かずじっとしています。人間と同じ哺乳類には冬眠する動物が数多くいます。
私たち人間も、主観的に寒いと言うだけではなく、残念ながら運動時のパフォーマンスが気温とともに低下します。筋力を多く使う自転車においては、低温によって筋肉に乳酸が溜まり易くなります。
また、体温を維持するため、暖かい時期よりカロリーを多く消費します。(とは言え、カロリーを多く消費しても、冬は身体が勝手に脂肪を貯め込もうとするのでなかなか痩せ難いのが悩みどころですね)
そこで、練習計画を立てる時には、パフォーマンスの低下を考慮して、時間に余裕を持った計画を立て、補給のポイントもこまめに設定しましょう。温かくて身体が良く動く時期と同じ感覚で計画を立てると、思わぬところで地獄を観ることになります。
4.補給食はたっぷり持って走ろう
冬場にロードバイクトレーニングはシーズンインに向けてのベース作り。
LSDトレーニング(長い距離をゆっくり走る練習のこと)が中心になります。そんな時には補給食をたっぷり持って走りましょう。
理由は2つ。1つは先にも書いたように、冬場はカロリーを多く消費するので、補給食を多めに持って走らないとハンガーノックのリスクが高まるため。そしてもう1つは、コンビニ休憩の回数を減らすため。ベース作りのLSDトレーニングであれば、あまり止まらず走り続けた方が、良いトレーニング効果が望めます。
走り続けるために補給食は多めに持って走りましょう。
5.日焼け止めを使おう
私は肌が弱く乾燥肌なのですが、同じように肌が弱い方は冬でも日焼け止めを使うことをおすすめします。
冬場は晴天が多いうえに空気が澄んでいるので、意外と多くの紫外線を浴びています。そのうえ乾燥しているので肌にはダメージが大きな季節です。そこで少しでも紫外線を避けるために日焼け止めを使い、帰ったら保湿ケアをしっかりしてあげましょう。
6.冬こそ山より海?平坦路でのトレーニングがおすすめ
冬場はどこを走るべきでしょうか?坂好きなら1年中山に行きたいかもしれませんが、冬場は山岳トレーニングはあまりおすすめできません。
登坂はどうしても発汗量が多くなり、その汗が下りで一気に身体を冷やしてしまうので、冬場の山岳ライドはとても体温調節が難しいのです。そのうえ、冬の山中は日陰も多く、場所によっては凍結している恐れもあるので、安全面と言う観点でもあまりおすすめできません。
それではどこを走るべきか。冬場は平坦路でのトレーニングがおすすめです。
冬場に行うベース作りのLSDトレーニングでは負荷が変化せず淡々と踏み続けらことが求められます。こう言う走り方には、強度に波が出来てしまう山よりも、一定強度で走り続けられる平坦路が適しています。どうせなら、山で山頂を目指して走るように海を目指して平坦路を走ってみては如何でしょうか。
海に近付けば海からの風で温かく、走り易いので、冬場は平坦路をLSDで海まで行くことをおすすめします。
※LSDトレーニングとは:「Long Slow Distance」の略で、長い距離をゆっくり走る練習のことを指します。一定のスローペースを保って長時間走ることで、有酸素運動の能力をアップさせることを目的としています。
ちなみに、トレーニング理論という観点で見ても、世界の名だたるコーチ陣は冬場は平坦路でトレーニングを行い、山での高負荷トレーニングは春になってから行うことを推奨しています。
冬場、まだ身体のベースが出来上がっておらず、高負荷のトレーニングに順応出来ない状態で山を走ると故障の原因にもなるからです。海の近くは冬でも暖かい風が吹いていて走り易い。
7.コンビニ休憩は短めに。そして休憩前後に気を付けること
冬場は練習中のコンビニ休憩にもふと工夫したいですね。まず休憩は極力短めに。ベース作りの時期なので、休憩は最小限にした方がトレーニング効果が高いうえ、長時間の休憩は身体を冷やしてしまい、再度走り出す時に寒くて辛い思いをします。
また一度のんびりと止まってしまうと精神的に再出発が憂鬱になってしまい、練習効果を落とす結果になります。こういう経験、誰でも一度はありますよね。
そして、この休憩中の身体の冷えに備えるために、休憩前はペース落とし、止まった時に汗が出ないようにしましょう。走り出しもスローでスタートし、ウォーミングアップのように徐々に身体を温めていきましょう。間違っても、休憩前にダッシュして、汗ダラダラで休憩に入り、冷え切った状態で再スタートするようなことは無いように。
8.寒い時にはレース用のウォームアップオイルが便利
自転車ロードレースの世界ではレース用のウォーミングアップオイル(マッサージオイル)の使用が常識。
特に寒い時期はトウガラシ成分の入った強めのウォームアップオイルを塗ると強制的に皮膚が温められます。このウォームアップオイル、寒い時はレースに限らず練習でも重宝します。私の場合は末端冷え性なので、トウガラシのたっぷり入ったタイプをしもやけ予防のためにつま先に塗っています。
最近のウェアはとても進化していて保温性がとても高いですが、どうしても手先・足先など末端はどうしても冷えやすいので、ウォームアップオイルはおすすめです。
レース用のウォームアップオイルは、普段の練習でも寒い時はなかなか重宝します。
9.帰りが遅くなった時のためにミニライトを活用しよう
冬場は日没が早く、すぐに暗くなります。それに加えて、前編でお話ししたように、暖かい時期に比べて冬場はパフォーマンスが落ちます。つまり、冬場のロングライドは油断するとすぐに辺りが暗くなってしまい、夜間走行を強いられるのです。
そこで、ポケットに入るような小さいライトを活用しましょう。備えあれば憂いなし、暗くなる前に帰れて使わずに済んだらそれで良いのです。ただ、保険として、長距離を走るならライトは持っておきましょう。最近のミニライトは非常に明るいものが多く、充電タイプで経済的なモデルもあるのでこう言ったタイプがおすすめです。
10.トレーニング後のボディケアは入念に
トレーニング後のボディケアは基本中の基本。1年を通してしっかり行わないといけません。しかし、冬場は冬場特有のケアすべきポイントがあるので、今回はそこについて説明します。
- ・風邪予防:うがい手洗いをしっかり行いましょう。またウィルス除去のためには鼻うがいも有効です。
- ・入浴:入浴は疲労回復に欠かすことは出来ません。夏場なら冷水浴などクールダウンにも着目して入浴しますが、冬場はやはり身体を温めることに主眼を置きましょう。可能であれば、スーパー銭湯やサウナに行くとさらに回復効果が得られます。
- ・目のケア:意外と見落としがちなのが目のケア。空気が乾燥していてドライアイになりやすいうえ、日照時間が短いので裸眼で走る時間が長く、目にゴミやほこりが溜まりやすいので、洗眼ができる製品でしっかりゴミを洗い流しておきましょう。特にこの時期から花粉の時期にかけては、薬局で売っている洗眼アイテムはとても重宝します。
- ・肌ケア:乾燥した北風にさらされて肌はカサカサになっています。保湿ケアをしっかりしましょう。
いかがでしょうか。
冬のロードトレーニングを快適に行うためのポイントをご紹介してみました。実践できるものはぜひ試してみて下さい。