フレームビルダーってどんなお仕事?

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僕の仕事はフレームビルダー!

僕の仕事はフレームビルダー。自転車のフレームを作る仕事です。
よく知られている?個人で営られている工房持ちのビルダーではなく、企業に雇われて、工場の中で製造しているビルダーです。(と言っても、造る人は僕しかいないので、大きくは変わりませんが・・・)

今回は、そんな僕の仕事をかる〜~く紹介させて頂きます。

そもそも、フレームビルダーって何?って方もいると思います。
大雑把に説明すると、パイプを切ったり、くっつけたりして自転車の形にするお仕事です。
物凄く簡単そうな仕事に感じられてしまいそうですが・・・結構大変なお仕事なのです。
自転車の製造工程は大きく分けて5つあります。

  1. 材料の検査
  2. 材料のカット
  3. 仮組み
  4. 本溶接
  5. 最終検査

以下でこれらの工程に関して順番に説明していきます!

製造工程① 材料の検査

スポーツ自転車の材料となるパイプはそこら辺に売っているパイプとは違い、自転車専用に作られたパイプなんです!
何が特殊かと言うと、パイプの厚み
強度が必要な部分や溶接箇所は厚めで、それ以外は薄く作ってあります。
これにより、軽量でありながらも、強度のある自転車が作れるわけです。

そんな魔法のような自転車専用パイプでも弱点があります。
パイプの内側に肉厚の変化をつけ、かつ、薄いパイプの製造は非常に難しく、パイプの製造過程でどうしても少し反ってしまったり、変形してしまったり、材料としての精度がどうしても悪くなってしまいます。
そこで、加工前に検査をして、反りの方向や大きさ、変形の度合いを確認して、自転車の状態になった時に『良い具合』になるように、加工の目処を付けるために行うのがこの材料の検査。
この作業を雑にすると、気持ちよく走る自転車にはならないので、慎重に作業しなければならない大事な作業です。

製造工程② 材料のカット

そして2つ目、材料のカット

検査を終えたパイプを、必要な長さ、角度で、そりの方向を揃えてカットしていきます。

     

ここで、1つ目の検査で確認した『反り』の方向が分かっていないと、全部バラバラの長さや角度になってしまします。
CUTのポイントは4つ、CUTの長さ、正しい角度でCUTできているか、真ん中でCUTできているか、反対側のCUTに対して真っ直ぐか、これらを図面や道具を使って確認しながら作業していきます。
これら4つのポイントを踏まえて、いかに正確にCUTするかが重要で、
精密に機械加工する事で、後工程の品質が安定し、細やかな設計の意図を反映したフレームが出来上がるのです!

こうしてカットされた材料を、次は仮組みします。

製造工程③ 仮組み

3つ目は仮組みです。
精度よくカットされた材料を、治具(ジグ)で図面の寸法とはちょっとずらして拘束し、点付溶接します。

ちょっとずらすのがみそ。溶接をすると必ず歪みます。溶接の神様がしても必ず・・・
最終的に図面通りの寸法に仕上げるために、その歪みを予測して、わざとずらして仮溶接をするんです。

ここで、2 つ目の工程が生きてきます。すべてのパイプが正確に、同じに CUT されているので、すべて同じ条件のフレームができるのです。
仮付後、各所の寸法を確認して、ねらい通りできていれば4つ目の工程、本溶接に移ります。

製造工程④ 本溶接

4つ目の工程、本溶接です。
本溶接では、高強度に美しい外観で溶接するのがポイントだと思われる方が多いと思いますが、そんなことは出来ていて当たり前で、重要なのが、いかに余計なひずみを出さずに図面通りの寸法に仕上げるかです
ですが、実際に溶接すると、全て同じ方向に、全て同じ量だけひずませて溶接する事は難しく、どうしても、ほんの少しずれてしまいます。
なので、1 カ所溶接するごとに、最終的に図面通りに仕上がるように、歪の微調整をしていきます。

今回は、Tig溶接を用いてフレームの製造をしていきます。Tigとは、タングステンイナートガスの略で、Tig溶接とは、タングステンという金属を電極にして金属との間に電気を流しアーク(小さな雷のようなもの)を発生させて、その熱で金属を溶かし、溶けた金属や、タングステンを酸化させないようにイナートガス(不活性なガス)をアーク周辺に流す溶接方法です。
この方法は、他の溶接に比べてスピードが遅く、作業者に高い技量が必要です。
ですが、ちゃんと溶接出来れば、溶接部がきれいかつ、高強度の溶接ができます。

と、難しく書いて見ましたが、要は電気で溶かして、くっ付けてるって事です。
本溶接が終わるといよいよ最終工程!

製造工程⑤ 最終検査

5つ目は最終検査です。
溶接の終わったフレームが、寸法通りに出来ているか検査します。

自転車業界では、一般的に1.0~2.0㎜程のズレは許容範囲として生産されています。 まっすぐ走らないとはほとんど感じないので生産性を考慮してコストを抑えるためです。
この公差をどう捉えるかは各メーカー色々ですが、
我々は、この範囲では本当に気持ちいい自転車にはならないという考えに行き着き、0.5㎜以上のズレは許容しない事にしています。
こうして製造されたフレームにパーツが取り付き、皆様の手元にどときます。

終わりに・・・

勤めのビルダーなので、直接お客様の笑顔を見る事は無いのですが、営業さんからの報告や、SNS ブログなどで、お客様の笑顔を作れている事が確認出来ると、小さな拘りも無駄ではなかったと感じます。

なかなか、やりがいのあるお仕事ですよ!