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来シーズンへの準備はもう始まっているシクロクロス|100%引き出すオーバーホール
今日はシーズン前にバタバタしないように、今の内から始めておきたいシクロクロスバイクのオーバーホールについて、僕のバイクのオーバーホールの工程を紹介しながらお話ししたいと思います。
100%性能を堪能するためにオーバーホールは絶対に必要
ロードバイクでも、マウンテンバイクでも、シクロクロスでも、オーバーホールは絶対に必要です。1シーズン戦ったバイクを普段メンテナンス出来ない細部まで徹底的にケアして、翌シーズンに100%の性能で走ってもらうために、ロードやマウンテンなら冬場、シクロクロスなら夏場にオーバーホールを行うのが一般的です。
ロードバイクなどオンロード系のマシンは、走行距離が長い分だけダメージが蓄積し、マウンテンバイクやシクロクロスバイクは距離こそロードより短いものの、地面から大きな衝撃を受けたりドロドロになったりと、使用条件が厳しいので、これもまた1年に1回、大がかりなメンテナンスが必要です。
普段のメンテナンスは重要ですが、BB(ボトムブラケット)やヘッドパーツなど、頻繁にいじるのが難しいベアリング類のメンテナンスや、変速系統の徹底的な洗浄、細部の破損箇所のチェックなど、性能を引き出すためだけではなく、安全に走るためにもオーバーホールは有効なのです。
では、僕のマシンを例に取って、シクロクロスバイクのオーバーホールを見ていきましょう。今回は僕の所属チームであり、シクロクロスバイクに関する技術や知識が豊富なBIKESHOP SNELの協力のもと、工程をご紹介していきたいと思います。
BIKESHOP SNEL(地図)
- 営業日(営業時間)
- 月・火・土曜日(11:00〜19:00)
- 木曜日:11:00〜17:00
- 金曜日:11:00〜21:00
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- 公式サイト:http://www.bikeshop-snel.com
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全てのパーツをフレームから取り外す

手始めにハンドルに巻いてあるバーテープをはがして、ワイヤー類を外し、その他のパーツも全部取り外していく
完成車の状態から、惜しげもなく全てのパーツを外していきます。外すだけなら簡単そうに見えますが、自転車1台の構成部品は非常に多いうえ、特殊な方法で固定されているパーツもあり、慎重さも求められます。

こんな感じで惜しげもなく分解された僕のマシン
もちろん、パーツを取り外した後は、フレームの普段は目が届かない部分に破損が無いかもしっかりチェックします。
ヘッドパーツ・ボトムブラケットのグリスアップ

ヘッドパーツはしっかりグリスアップ
マシンの細部まで徹底的にメンテナンスするオーバーホールですが、その中でもヘッドパーツとボトムブラケットのメンテナンスはメインイベントと言えるのではないでしょうか。
なぜなら、他のパーツは普段からメンテナンスが容易に行えますが、ヘッドパーツとボトムブラケットはマシンを一度バラさないと手を加えることが出来ないので、オーバーホールの時でも無いとなかなかケアできないからです。

ボトムブラケットを外したフレーム内部はゴミだらけ。砂や泥の中を走るシクロクロスはマシンへのダメージが大きい。
どちらも普段は目立たないパーツなので、たまに取り出してみたらゴミが溜まっていたり、サビサビだったり、ベアリングがゴリゴリだったりします。きれいに磨いてしっかりグリスアップしてやることで、走行抵抗の軽減に繋がります。
特に泥の中を走り、レース後の水洗いの頻度も多いシクロクロスバイクなので、ここをメンテナンスせずに翌シーズンに臨むと言うのは絶対に避けましょう。

ボトムブラケットは『C-Bear』のセラミックBBにバージョンアップ
私のマシンも案の定、ワンシーズン戦ったダメージでボトムブラケットは激しく傷んでいました。こう言う時はしっかり性能を出すために新品のボトムブラケットへの交換がおすすめです。
私のマシンも良い機会なのでベルギー製の『C-Bear』のセラミックBBにチューンナップして、来シーズンはさらに軽い走りが出来るので、今から楽しみです。
こういう時にチューンナップも同時に行えるのがオーバーホールの醍醐味です。
外したパーツを分解洗浄・グリスアップ

リアディレイラーは分解して徹底洗浄
ヘッドパーツやボトムブラケットをメンテナンスしたら、他のパーツも整備していきます。

リアディレイラーのプーリーは消耗が激しかったので、シクロクロス専用設計のGevenalle CX プーリーに交換
主には変速機やチェーンなどの駆動系とブレーキ系統のパーツの整備。取り外した状態なので、普段のメンテナンスではなかなか行えない細部のメンテナンスをしっかり行います。ここでもやる内容は分解のうえ、磨いてグリスアップ。

カンチブレーキはバネがヘタっていたので、新品のSHORTY ULTIMATEに交換。ディスクブレーキ化が進んでいるので、カンチブレーキユーザーは制動力の高い上位モデルへの交換をおすすめしたい
やはり破損したり、消耗が激しいパーツは安全上の問題と、本来の性能を発揮しないので交換しましょう。
外したパーツを取り付けていく

ここから部品を組み付けていく。1台分の構成部品は意外と多いので大変な作業になる
取り外したパーツの洗浄とグリスアップが完了したらパーツを取り付けていきます。この時に、ブレーキワイヤーや変速ワイヤーも新品に交換していきます。また、サドルやハンドルなどポジションに関わるものは、作業前とポジションを出すべく慎重に調整していきます。
ブレーキや変速機の再調整

作業終了。ブレーキ以外のパーツは前と同じものなので見た目にはあまり変化はないけど、リフレッシュして走りは軽くなっています。
一通りパーツを組み付けたら、最後はブレーキや変速機の再調整を行います。消耗品の交換等で取り外す前のセッティングとずれが生じているので、最高の状態にすべく細かい調整を行います。
消耗したパーツの交換について

僕は今回、ブレーキ本体を交換。ブレーキだって何シーズンか使っている内にバネがヘタって寿命を迎えるのだ
ここまで見てきたように、今回のオーバーホールでは消耗が激しいパーツは新しいものに交換しました。
磨いてグリスアップすればまた使える状態であれば、引き続き使用すれば良いと思いますが、シクロクロスバイクは悪条件下を走るのでパーツのダメージも大きく、ダメになったパーツは速やかに交換した方が無難でしょう。
特に、徹底的にメンテナンスが出来るオーバーホールのタイミングはこう言ったパーツの交換やチューンナップを行うには良い機会です。通常のオーバーホール費用にプラスしてパーツ代もかかってしまうので予算的には大変かと思いますが、クルマでも車検の際に色々追加で整備するように、年に一度のオーバーホールの際にはダメになったパーツは交換した方が良いでしょう。
如何でしたでしょうか。
オフロード走行によってロードレーサーよりもダメージを受けているシクロクロスバイクは、定期的なオーバーホールによって長く安定したパフォーマンスを発揮してくれるので、来シーズンに向けて今のうちにオーバーホールを済ませておきましょう。